軽井沢の朝が、少しだけやわらかくほどけていく。
そんな一日の始まりを迎えたい日は、決まって「MzCOFFEEラボ」に向かう。
軽井沢駅から車でおよそ15分。
静かな住宅街を抜け、背の高い木々に囲まれた小さな山小屋のようなカフェがふっと視界にあらわれる。
その佇まいは、観光地のカフェというより、誰かの秘密のアトリエに招かれたような、少しだけ特別な空気をまとっている。
今回は特別に、開店前のまだ店内に灯りがともる前の時間からお邪魔して、一杯のコーヒーが「わたしの朝」になっていくまでのプロセスを、こっそり覗かせてもらった。

こだわりのハンドプレスという、小さな儀式
MzCOFFEEラボの中心にあるのは、オーナー・松本さんの代名詞でもある、ハンドプレスのエスプレッソ。
注文が入るたびに、手のひらの力加減だけで丁寧に抽出されていく液体は、
カップの中で静かに層をつくりながら、濃密な香りと奥行きのある苦みを立ちのぼらせる。
「今日は、少し空気が軽いですよね」
そう言いながら豆を選び、天気や湿度、その日の気分まで汲み取るように、毎朝レシピを微妙に変えているのだと話してくれた。
“ラボ”と名乗る理由は、その言葉だけで十分に伝わってくる。
自然の表情が毎日少しずつ変わる軽井沢という場所で、
その日の空気を映し出すようにブレンドされた一杯は、
飲み終えたあとも不思議と余韻が残り、
自分の感性を静かにチューニングしてくれるような、心強い相棒になっていく。

軽井沢を五感で分かち合う、バリスタという存在
MzCOFFEEラボを語るとき、オーナーでありバリスタでもある松本さんの存在を抜きにすることはできない。
丁寧にミルを回す音、カウンターにカップを置くときのささやかな所作、
言葉を選びながらゆっくりと話すその声。
どれもが、この土地と真剣に向き合ってきた時間の長さを物語っている。
「今日は、空が少しやわらかいですね」
そんな一言から始まる会話は、天気の話で終わらない。
軽井沢で暮らす人たちのこと、季節ごとに変わる香り、
この町で過ごす時間の“濃さ”について、コーヒーを挟みながら少しずつほどけていく。
都会では、つい早送りしてしまいがちな時間も、ここでは不思議と、自然なスピードに戻っていく。
カップを持つ手の温度、窓の外の木々の揺れ、焙煎したての豆の香り。
五感が一つひとつ、現在地に呼び戻されていく感覚が心地いい。
一杯のコーヒーを飲み終える頃には、「今日はどんなふうに過ごそうか」と、自分の一日をていねいに選びたくなっている自分に気づく。
そんな小さな変化をくれる場所が、わたしにとってのMzCOFFEEラボだ。
こちらのブログで紹介したお店
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MzCOFFEEラボ
〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉5543-4
【営業時間】
火~金 10時-17時
土・祝 10時-15時
【定休日】
日・祝
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